昭和史 忘れ得ぬ証言者たち (講談社文庫)



昭和史 忘れ得ぬ証言者たち (講談社文庫)
昭和史 忘れ得ぬ証言者たち (講談社文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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「昭和史」問題の重要と書のひとつ

 著者の専門領域である「昭和史」に付き、多くのインタビューに基づいた書物である。
 ただ、彼の著作の「根拠」になる「証言者」の方に力点が置かれているので、どうしても、証言の統一性とか、表現や分析の一貫性は失われている。
 ただ、原資料を論評するという作業も必要であると思う。
 重要な資料であろう。
近衛文麿の痔

著者が実際に取材をしたのは30年間でほぼ3000人とのことだが、本書に収録されているのはその中の60数名に過ぎない。また、ひとり当たりに割かれているページ数が少ないので、物足りなさを感じる箇所が多々あるが、取材時の模様を通してその人物像は大まかに掴める。

私が本書を読んで一番印象に残ったのは、細川護貞が語った「近衛文麿の痔」である。彼がそれに苦しんでいなければ太平洋戦争が始まっていなかったのかもしれないと、「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら」的なヒストリカルイフに思いを至らせた次第である。
実にたくさんの人と会っているものだ

著者はよく4000人の話を聞いたと書いている。そのうちの63名の事蹟や考え方、著者の印象を記している。読む前までは、著者の得意な太平洋戦争中の人が中心かなと思っていたし、最初は元軍人が多かったが、実に色々な人と話をして来ているのだ。
変わったところでは、「東京行進曲」を唄った佐藤千夜子、日教組の槙枝元文、政治家の後藤田正晴、比較的若いところでは「お役所の掟」の宮本政於、ジャーナリストの田原総一朗までいる。
450ページほどの紙面に63名について記載するのだから、一人7ページ程度しか書けないのだが、その人物についてうまくまとめていると思う。そして結果的に昭和史を側面から理解する手助けとなっている。
歴史は様々な視点から見なければならないと思っているが、その手助けとなる一冊である。



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